給与とは会社から受け取るすべての報酬のこと。給与の決め方次第で従業員のモチベーションは上下する

会社は、従業員に対し給与を支給しなくてはいけません。

企業にとってはできる限り給与を少なくしたほうが利益は上がりますが、従業員の離職やモチベーションの低下にもつながるため、慎重に判断する必要があります。

今回の記事では、給与額の決め方や計算の流れ、実務上の注意点などのポイントを詳しく解説します。

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給与とは会社から受け取るすべての報酬

給与とは、会社が従業員に対して支給するすべての報酬のことです。

つまり、毎月の給料だけでなく、ボーナスや手当も含まれます。

給料は基本給とも称される

給与と混同されがちな言葉として、給料があげられます。

給料はあくまで正規の勤務時間に対して支給する報酬(基本給)のことであり、残業代、手当、ボーナスは含まれません。

手当や現物給与も給与としてみなされる

給与には、会社が従業員に対して給付する経済的利益が幅広く含まれます。

基本給(給料)以外にも、手当や現物給与を支給したなら、それも給与に含まれると考えましょう。

記念品も条件を満たせば給与として扱われる場合もある

会社が、創業記念や永年勤続の表彰として記念品を支給する場合も、一定の条件を満たせば福利厚生費とみなされますが、条件を満たさないと給与として扱われ、課税の対象となります。

たとえば、創業記念などの記念品の場合は、以下の条件を満たさないといけません。

● 社会一般的にみて記念品としてふさわしい

● 評価額が1万円以下

● おおむね5年以上の間隔で支給している

給与所得の所得税額(源泉徴収税額)

給与からは毎月所得税および復興特別所得税を控除しなくてはいけません。

具体的な額は「給与所得の源泉徴収税額表」を使って求めます。

一般的な給与計算の流れ

一般的な給与計算の流れについて解説します。

基本的な手順であるため、どの会社でも大きな差はありません。

総支給額を計算する流れ

最初に、基本給に時間外手当や役職手当など、各種手当を含めた金額(総支給額)を、「総支給額=基本給+各種手当-欠勤控除」という式で計算します。

なお、各種手当のうち特に注意が必要なのは残業手当や休日出勤手当です。

労働基準法では、以下のように割増率が定められています。

引用:東京労働省「しっかりマスター労働基準法

勤怠データを正確に把握し、正しい金額を支給しましょう。

社会保険料・税金・その他の控除額の計算

次に、社会保険料・税金・その他の控除額を計算します。

社会保険料と雇用保険料の説明および計算式は以下の通りです。

社会保険料

健康保険・厚生年金保険・介護保険(満40歳以上の場合のみ)の総称。「各保険料=標準報酬月額×保険料率」で計算。

雇用保険

会社を退職したなどの理由で失業した場合、一定の条件を満たせば失業保険が受給できる。「雇用保険料=総支給額×保険料率」で計算。

  

総支給額から控除額を差し引き手取り額を算出

「支給額(手取り)=総支給額-保険料・税金などの控除額」という計算式を使えば、手取り額が計算できます。

賃金台帳・給与明細などを作成

従業員に支給する給与の手取り額が計算できたら、次は事務的な手続きに移ります。

賃金台帳や給与明細を作成する必要があるため、遅滞なく進めましょう。

従業員への給与支払いや保険金・税金を納付する

従業員への給与支払いや保険金・税金の納付も、期日までに忘れずに進めましょう。

なお、従業員の給与は、毎月定められた給料日に、給与の全額を現金または本人名義の口座への振込により支払う必要があります。

また、2023年4月からはデジタル給与払いが解禁となり、指定を受けた資金移動業者の口座に限りデジタルマネーでの支払いも可能になりました。

従業員の給与額を決めるポイント

従業員の給与額を決めるには、様々な要素を勘案しなくてはいけません。

具体的なポイントとして、次の3つを紹介します。

ビジネスモデル・収益構造から考える

ビジネスモデル・収益構造を踏まえて従業員の給与額を決めることには一定の合理性があります。

例えば、営業担当者が新規顧客の開拓や既存顧客へのフォローアップを行うことで売上を獲得している企業があるとしましょう。

この場合、売上獲得への寄与分を考えると、営業担当者には他の従業員よりも多めの給与を支給する必要が出てきます。

業界・競合の給与水準から考える

業界・競合の給与水準から考える方法も、幅広く用いられています。

特に、従業員を新規で採用する場合、求職者に競合他社から提示された給与を聞き出し、そこから給与を決定するのは珍しくありません。

既存の社員の給与水準から考える

既存の従業員の給与水準から考える方法を使うケースもあるでしょう。

同じような業務を担当する従業員がいる場合は、給与に大きな差をつけないほうが不満は発生しにくいです。

ただし、求職者に対しこの方法を使って給与を提示する場合、前職の給与からの下落幅が大きいと内定を辞退される原因になりかねないので、慎重に進めましょう。

従業員の給与額を決める注意点

従業員の給与額を決める際は、以下の点にも注意しなくてはいけません。

● 法定福利費の額

● 賞与の金額・支給方法

● 短期的業績へのインセンティブ

法定福利厚生費の額

法定福利費とは、従業員を雇用している企業に対し負担が義務づけられている保険料などのことで、以下のものが含まれます。

● 厚生年金保険料

● 健康保険料

● 介護保険料

● 雇用保険料

● 労災保険料

● 子ども・子育て拠出金

一般社団法人日本経済団体連合会「2019年度福利厚生費調査結果の概要」によれば、2019年に企業が負担した従業員1名あたりの毎月の法定福利費は84,392円となっています。

法定福利費は給与に応じて額が決まることから、過度な負担になりすぎないよう注意しなくてはいけません。

賞与の金額・支給方法

賞与の金額・支給方法も給与体系には大きく影響します。

業績が景気に左右されやすい場合、賞与の比重を高めることで、企業業績に合わせた支給が可能です。

一方、安定性を重視するなら、あえて賞与の比重を小さくすれば「景気に左右されずに収入が安定している企業」という印象を与えることもできます。

このあたりの方針は、企業のスタンスや従業員の意向などを踏まえ、自由に決めてかまいません。

短期的業績へのインセンティブ

従業員の成果を評価するという意味では、短期的業績へのインセンティブを組み込むのも重要です。

つまり、半期や四半期など短期間を対象とし、その間の業績達成度合いに応じた報酬を支給します。

従業員の業績に対する意欲を向上させられるというメリットがありますが、計算式などの開示が必要なうえに、短期的な業績に目が向きがちになる点には注意が必要です。

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給与の源泉徴収票の記載事項と発行のタイミング

給与を支給したら、源泉徴収票を発行しなくてはいけません。

源泉徴収票とは、1年間の収入と納付した所得税額を記載した書類のことです。

原則として毎年12月の年末調整の後に発行します。

なお、従業員が12月までに退職した場合は、退職日以後1ヶ月以内に発行しなくてはいけません。

特別徴収と源泉徴収対応の違い

源泉徴収と混同されがちなものに特別徴収があります。

特別徴収とは、従業員の個人住民税について事業者が毎月給与を支払う際に徴収し納入する方法です。

一方、源泉徴収対応とは、所得税と復興所得税について事業者が毎月給与を支払う際に徴収し納入する方法のことです。

源泉徴収票の記載事項

源泉徴収票の主な記載事項は以下の通りです。

● 支払金額

● 給与所得控除後の金額

● 所得控除の額の合計額

● 源泉徴収税額

● 社会保険料等の金額

● 生命保険料の控除額

給与計算のトラブルは早期離職の引き金になる

給与は、従業員が生活していく上で非常に重要なものです。

決め方や支給のプロセスに問題があった場合、従業員が不信感を抱き、早期離職などのトラブルにつながりかねません。

企業はどんなに小規模でも、従業員が納得するよう、給与体系を決め、適切に事務処理をしていくべきでしょう。

最初は専門的な知識や経験を有する人材の力を借りて、体制を構築するほうが効率的です。

しかし、社員として雇用した場合、固定費として給与を払わなくてはいけないため、費用面で難しいケースも考えられます。

そこで、業務委託という形で関与してもらえば、稼働した時間分だけ報酬を払えばよいので、負担にはなりません。

ぜひ一度、リンクスエージェントにご相談ください。