役員賞与報酬を活用した節税。損金算入・二重課税への対処法

役員賞与とは、役員に対して支払う賞与のことです。

税法上、損金算入するためには条件をクリアしなくてはいけませんが、勘所を押さえれば問題なく進められます。

そこで今回の記事では、役員賞与を活用した節税について、詳しく解説します。

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役員賞与とは役員に臨時的に支払われる報酬

役員賞与とは、文字通り役員に対して支払われる賞与(ボーナス)などの臨時的な報酬のことです。

現金だけでなく、それ以外のものでも役員賞与に含まれるケースがあります。

税務上の役員とは取締役や会計参与などが含まれる

ここで、税務上の役員とは誰を指すのかについて解説します。

会社法における役員は、取締役、会計参与および監査役です。

会社法 第三百二十九条 役員(取締役、会計参与及び監査役をいう。以下この節、第三百七十一条第四項及び第三百九十四条第三項において同じ。)及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任する。

税務上の役員も、取締役、会計参与および監査役の3つと考えましょう。

現金以外も役員賞与になりうる

役員賞与は従業員への賞与と同様、現金で支給されることが多いです。

しかし、以下のように、経済的な価値があるものなら、役員賞与に含まれます。

  • 物品その他の資産を無償または低い価格により譲渡したことによる経済的利益
  • 土地、家屋、金銭その他の資産を無償または低い対価により貸し付けたことによる経済的利益
  • 福利厚生施設の利用など、②以外の用役を無償または低い対価により提供したことによる経済的利益
  • 個人的債務を免除または負担したことによる経済的利益

役員賞与と役員報酬の違いは支給のタイミング

役員賞与と役員報酬は、どちらも役員に対して支払われる報酬ですが、支給されるタイミングが異なります。

  • 役員賞与:あくまで臨時的なもの(従業員に対してのボーナスに近い)
  • 役員報酬:定期的に支払われるもの(従業員に対しての給与に近い)

役員賞与を増やすことで社会保険料の削減が可能

賞与の健康保険料および厚生年金保険料には上限が設けられています。

役員賞与を高くすることで毎月の報酬を抑えれば、標準報酬月額も減るため、社会保険料を削減することが可能です。

役員賞与を損金算入するための条件

役員賞与を損金算入するためには、法人税法上定められたいずれかの支給方法に従わなくてはいけません(法人税法第34条)。

  • 定期同額給与
  • 事前確定届出給与
  • 利益連動給与

それぞれの方法について、詳しく解説します。

定期同額給与における手続き

定期同額給与とは、役員に対してあらかじめ設定した報酬を定期的に支給する方法のことです。

税務署に届出を行う必要はありませんが、損金算入するためには、毎月一定額を支払うことが必要になります。

会社を設立したら、役員報酬を設立後3ヶ月以内に決めておかないと損金算入ができないため要注意です。

また、会社の経営が急激に悪化したなど、特別な事情がない限りは金額の変更もできません。

事前確定届出給与における手続き

事前確定届出給与とは、所轄税務署長に対して事前に届出を行った上で役員に対して報酬を支給する方法のことです。

損金算入するためには、税務署に届出書(事前確定届出給与に関する届出書)を提出する必要があります。

そのほかにも注意しなくてはいけない点が多々あるため、この後詳しく解説します。

業績連動給与における手続き

業績連動給与とは、利益など会社の業績によって支給額を変動させる方法のことです。

業績連動給与は、非同族会社かもしくは、非同族会社の完全子会社となっている同族会社のみに認められています。

中小企業の場合、大多数が同族会社のため、現実的に利用できるのはごく一部と考えましょう。

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事前確定届出給与として役員賞与を支給する場合の4つのルール

事前確定届出給与として役員賞与を支給する場合、手順を守らないと損金算入ができません。

守るべき手順について詳しく解説します。

役員賞与の支給時期と金額は厳守

事前確定届出給与として役員賞与を支給する場合、税務署に「事前確定届出給与に関する届出書」を出さなくてはいけません。

そして、実際に支給する際も、記載事項は厳守する必要があります。

たとえば、事前確定届出給与では「12月に100万円を支給する予定」と記載したのに、実際には12月に200万円を支給していた場合、内容に乖離があるため不完全一致支給とみなされ、損金算入もできません。

「事前確定届出給与に関する届出書」の提出期限は厳守

事前確定届出給与に関する届出書の提出期限は厳守しなくてはいけません。

以下のいずれかのうち、どちらか早いほうが期限になります。

  • 職務執行開始日、もしくは株主総会で役員賞与の決議日のどちらか早い日から1ヶ月以内
  • 事業年度が開始した日から4ヶ月以内

不相当に高額な役員賞与は損金算入されない可能性

基本的に、役員賞与の金額は自由に決めてかまいません。

しかし、不相当に高額な場合、損金算入されない可能性もあるため要注意です。

実際のところ、役員賞与の金額は形式基準と実質基準の2つに基づいて決められます。

  • 形式基準:株主総会等の決議(もしくは定款の規定)によって定められている報酬限度額の範囲内であること
  • 実質基準:役員の職務内容、企業の収益、従業員への給与の支払いなどの条件に従い、妥当かどうかを判断する

株主総会の決議は必須

事前確定届出給与に関する届出書の提出においては、原則として株主総会決議を経なくてはいけません。

税務署からも、株主総会の有無や決議内容について説明を求められるため、議事録を作成し、すぐに見せられるようにしておきましょう。

役員賞与は一度設定したら原則金額の変更不可

役員賞与を事前確定届出給与とした場合、基本的には金額を変えることはできません。

会社の損益や資金繰りに影響が及ばないよう、合理的な額を決めましょう。

経営状態が悪化した場合や職制上の改定があった場合は変更可能

ただし、以下のいずれかに当てはまる場合は、例外として金額が変更できます。

  • 法人の経営状態が著しく悪化した
  • 役員の地位が変わった

変更届出は期限までになるべく早く提出を

変更届を提出する際は、所定の届出期限内に提出しましょう。

以下のいずれか早い日になります。

  • 業績悪化で役員賞与の減額を決議した株主総会から1ヶ月以内
  • 当初の届出の支給日の前日

なお、減額するための変更は認められますが、増額を前提にした変更は認められません。

変更届出未提出で支給日を超えると役員に源泉所得税が課せられる

事前届出よりも支給額が低くなる(あるいは支払いをしないようにする)といって変更届を出さないと、支払いはないのにもかかわらず、源泉所得税が課されてしまいます。

役員が損をするので、やむを得ない事情があり、かつ、その理由を正当に説明できるなら、変更届出を出したほうがよいでしょう。

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むやみな役員賞与の決定は会社の存続に関わるため専門家に相談

役員賞与の支給は、役員のモチベーションアップにつながる上に社会保険料の節約にも役立ちます。

しかし、一度決めた支給額は基本的に変更できない、役員の生活を害する恐れがあるなど、使い方には配慮が必要です。

細かい部分の調整も必要なため、人事労務の経験・知識がある専門家が関与しないと、役員賞与も含めた報酬体系の構築は難しいでしょう。

社会保険労務士など外部の専門家に相談するとともに、人事労務部門にも知識・経験を有するスタッフを配備すべきです。

しかし、ベンチャーなど小規模かつ創業から年数が経っていない企業の場合、知識・経験を有した社員の確保に苦労するおそれがあります。

採用活動がはかどらなかったり、希望額の給与が高く内定を出しても辞退されたりすることも考えられます。

正社員としての採用にこだわらず、業務委託という形で協力を仰ぐのも1つの方法です。

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