業績賞与とボーナスの違い。必要な手続きの方法や役員への報酬として損金算入する方法を解説

賞与とは、固定給が支払われている労働者に対し、定期給与とは別に支給する給与のことです。

俗にいうボーナスのことですが「どのように金額を決めるか」によってもさらに細かく分けられます。

そのうちの1つ、業績賞与とは企業・部門・個人の業績と連動させて賞与額を決める制度のことです。

今回の記事では、必要な手続きの方法や役員への報酬として損金算入する方法について解説します。

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業績賞与とは企業・部門・個人の業績を連動させて賞与額を決める制度

業績賞与とは、企業・部門・個人の業績を連動させて賞与額を決める制度です。

基本的に、業績がよければ賞与額は上がりますが、その逆も起こりえます。

業績賞与を導入している企業は多数派

経団連「2021 年「夏季・冬季 賞与・一時金調査結果」の概要」によれば、業績賞与を導入している企業の割合は55.2%にも上りました。

比較的多くの会社で導入されている方法といって問題ないでしょう。

出典:一般社団法人日本経済団体連合会「2021 年「夏季・冬季 賞与・一時金調査結果」の概要」

賞与の平均額は業種・役職により大きな差異

また、賞与の平均額は、業種や役職により大きな差異があります。

先ほど用いた経団連「2021 年「夏季・冬季 賞与・一時金調査結果」の概要」を用いて解説しましょう。

まず、業種による差についてですが、産業別の賞与・一時金支給額(非管理職)の平均は以下の通りです。

出典:一般社団法人日本経済団体連合会「2021 年「夏季・冬季 賞与・一時金調査結果」の概要」

また、役職によっても賞与・一時金の額は異なります。

2021年の場合は以下の通りです。

非管理職 

管理職

夏季 

720,058 

1,461,602

冬季 

692,033 

1,342,201

出典:一般社団法人日本経済団体連合会「2021 年「夏季・冬季 賞与・一時金調査結果」の概要」

このデータを見る限りでは、業種や役職によって、賞与・一時金の額は大きく異なります。

ただし、これらの平均値は、業績連動型でない会社も含めたデータであるため、あくまで参考値程度に考えてください。

業績賞与とボーナスなど他の賞与との違い

業績賞与以外にも「○○賞与」という名前がつく制度はいくつかあります。

混同されがちなため、業績賞与と他の賞与の違いについて知っておきましょう。

基本給連動型賞与とは基本給をベースに支給額を計算する賞与

基本給連動型賞与とは、基本給をベースにして支給額を計算する賞与のことです。

賞与算定基準日の基本給に支給月数をかけて求めます。

「ボーナスは月給○ヶ月分」といった場合の賞与と考えましょう。

決算賞与とは業績が好調な場合に社員に利益配分するための賞与

決算賞与とは、業績が好調な場合に社員に利益配分を行うための賞与です。

その年の決算が終わったタイミングで、業績が好調であれば臨時に支給します。

役員賞与とは社長や役員に支給される賞与

役員賞与とは、社長などの役員に支給される賞与のことです。

従業員に支払われる賞与は経費として扱えますが、役員賞与は原則として経費とすることができません。

しかし、以下の条件を満たせば役員報酬でも経費として扱う(損金に算入する)ことができるため、節税にも役立ちます。

  • 支給時期、賞与の金額を決定する
  • 期限内に税務署に届出する
  • 届出の内容通りに、支給する
  • 不相当に高額でない

業績賞与から住民税は控除されない

業績賞与を支給する際、所得税と社会保険料は控除されますが、住民税は控除されません。

そもそも、住民税は前年の給与に基づき決定された金額を12分割して毎月の給与から差し引く仕組みになっています。

そのため、業績賞与からは差し引きません。

業績賞与の導入が企業にもたらす主なメリット

業績賞与を導入することにより、さまざまなメリットがもたらされます。

ここでは、具体的なメリットとして以下の3点について解説します。

賞与の支払による経営圧迫リスクの軽減

業績賞与では、企業の業績に見合った賞与額を負担すればかまいません。

つまり、業績がふるわなかったら支払額を減らすことができるため、賞与の過払いによる経営圧迫リスクを軽減することが可能です。

従業員のインセンティブ化によるモチベーション向上

業績賞与は業績に連動した賞与を受け取れる仕組みです。

いわば「頑張った分だけ金額が増える」システムであり、従業員のモチベーション向上にも役立つのが大きな特徴です。

賞与額に関する労使交渉が不要

業績賞与では、事前に労使間の合意に基づき、業績指標を取り決めてから運用します。

そのため、業績指標が決定したら、その後の賞与額に関する労使交渉は必要ありません。

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業績賞与の導入が企業にもたらす経営リスク

一方、業績賞与を導入することには、一定の経営リスクも伴います。

ここでは、具体的なリスクとして以下の3つについて解説します。

賞与支給額の変動による資金ショート

業績がよかった場合、賞与として支給すべき金額も大きくなります。

タイミングによっては資金がショートするおそれもあるため、注意が必要です。

事前に資金繰りを確認し、ショートする懸念があるなら、別途調達しましょう。

従業員の企業に対する不満

業績賞与を導入したことが、従業員の企業に対する不満の原因にもなるので注意が必要です。

従業員のパフォーマンスがよかったとしても、急激に外部環境が悪化したら、業績も悪化します。

このような場合も業績賞与は低くなるため、「自分が出した成果に見合った賞与を出してもらえない」と不満を溜め込む従業員も出てくるでしょう。

従業員間の人間関係の悪化

業績賞与は、従業員間の人間関係の悪化を招くおそれもあります。

業績指標を個人目標の達成を重視したものにしてしまうと「自分の目標を達成できれば、自分の評価が上がる」と誤解する従業員が出てくるでしょう。

「自分さえよければよい」という個人主義的な行動に走りがちになり、チームワークの乱れを招く点には注意しなくてはいけません。

業績賞与を導入する際のポイント

業績賞与を導入する際には、いくつか気を付けるべきポイントがあります。

具体的なポイントについて、詳しく解説します。

導入する目的の明確化

まず、業績賞与を導入するにあたっては、目的を明確にしましょう。

業績賞与にも一定のデメリットがある以上、導入することで問題が起きるおそれもあります。

導入する前には、企業が現状抱えている課題を分析し、業績賞与を導入することが解決につながるかを考えるべきです。

業績指標の検討

業績賞与の支給額を決定するためには、算定の基礎となる指標を決めなくてはいけません。

どんな指標を使うかは、企業の実情に合わせて決めてかまいません。

一般的には、売上高、付加価値、利益基準、キャッシュフロー、株主価値基準などから会社の状況・環境を踏まえて決めることになります。

業績指標を決定する際の注意点

なお、業績指標を決定する際は、以下の5点に着目しましょう。

  • 経営目標に沿う会社が重視する指標にすること
  • 社員の理解がしやすいこと
  • 変動が激しくない指標を選定すること
  • 指標の選定が業績の向上に寄与すると明瞭であること
  • 社員の職務との関連性が明らかであること

業績の指標や個人の評価方法の公開

賞与額は、従業員のモチベーションや家計にも大きな影響を及ぼします。

業績賞与では、業績や個人の評価に連動して賞与額が決まる以上、どのような方法で支給額を決定するのか、具体的なプロセスを従業員にも公開すべきです。

なお、業績が大赤字になったり、想定よりも実績値が下回ったりした場合の対応についても協議し、従業員に伝えておきましょう。

具体的な方法として、以下の2つが考えられます。

  • どのような場合に協議を設けるかを設定しておく
  • 賞与の100%を業績によって算出するのではなく、固定給に基づいて業績と連動した賞与を加える

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業績賞与の導入前には緻密な支給ルールの設計が必要

業績賞与はある程度の業績がないと賞与が出せない仕組みです。

その上、支給ルールを緻密に決めた上で運用しないと、従業員から不満を持たれたり、社内の人間関係が悪化したりなど、トラブルにも直結します。

業績賞与を導入する前には、緻密かつ従業員からの不満が出にくい支給ルールを設計しましょう。

しかし、支給ルールはさまざまなケースを織り込んで設定しないといけないため、人事・労務に関する高いレベルの知識がないと難しいのも事実です。

社会保険労務士など、外部の専門家にチームに入ってもらい、一緒に設計する形が望ましいでしょう。

リンクスエージェントでは、社会保険労務士資格保持者など、高度な専門的知識を有する人材もご紹介可能。

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