企業の節税と従業員のモチベーションを高めるため決算賞与の支給の仕方を解説

決算賞与とは、文字通り、決算が終了したタイミングで支給する臨時の賞与です。

通常の賞与と同様、法律で支給が義務付けられているわけではありませんが、上手に使えば節税や従業員のモチベーションの向上に役立ちます。

そこで、今回の記事では「どのように決算賞与を支給すれば、メリットを最大限享受できるか」について解説します。

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決算時点の業績に基づき自由に支給額を決められる決算賞与のルール

決算賞与の金額は、法律上上限・下限が設けられているわけではないため、企業が自由に決めてかまいません。

「通常賞与は出さず決算賞与だけ出す」「業績が低調だったから決算賞与は出さない」など、企業の状況に応じて決められます。

また、就業規則に記載しておけば、勤務成績が良好だった従業員に決算賞与を出すなど、利益を還元するための方法として使うことも可能です。

決算賞与は決算日の翌日から1ヶ月以内に支給する

決算賞与を支給する場合、決算日の翌日から1ヶ月以内に支給しなくてはいけません(法人税法施行令第72条の3 )。

たとえば、決算日が3月31日だった場合は、4月30日までに支給する必要があります。

通常の賞与とは支給額と支給時期が異なる

なお、決算賞与と通常の賞与とは、支給時期・対象・額が異なります。

違いを表にまとめました。

決算賞与 

通常賞与(ボーナス)

支給義務 

なし(業績が好調なら支給する)

なし(人事評価制度の一環として支給する)

支給時期

決算後

夏・冬が一般的

支給対象

すべての従業員(パート・アルバイト、契約社員も含む)

支給額

決算時点の業績に基づく

人事考課に基づく

決算賞与を出すメリットは損金算入による節税と従業員へのインセンティブ

決算賞与を出す大きなメリットは以下の2点です。

  • 損金算入による節税
  • 従業員へのインセンティブ

それぞれについて、詳しく解説します。

要件を満たすことにより損金算入による節税が可能

決算賞与は法人税法上の条件を満たせば、事業年度内に支払わなくても損金計上が可能となります。

ただし、以下の3つの要件をを満たさなくてはいけません(法人税法施行令第72条の3)。

  • イ:その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知をしていること。
  • ロ :イの通知をした金額を通知したすべての使用人に対しその通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1か月以内に支払っていること。
  • ハ:その支給額につきイの通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること。

なお、社会保険の扱いについては注意しましょう。

決算後に支払った決算賞与に付随する社会保険料は、支払いが決算月の翌々月末となり、1か月以内に支払いを終えるという要件を満たさないため、その期の損金には算入できません。

翌年度の会計において損金に算入することになります。

また、決算賞与の勘定科目は「未払賞与」または「未払費用」を使いましょう。

社会保険料も「未払費用」でかまいません。

業績達成というインセンティブなど従業員のモチベーション向上

決算賞与はわかりやすくいうと「業績がよかったらもらえる賞与」であり、業績を上げたことに対する報酬という性質を有しています。

決算賞与を支給することで、従業員の努力を可視化することができ、次年度に向けてのモチベーションを向上させられるのも大きなメリットです。

また、ベンチャー企業やスタートアップなど会社としての歴史が浅く、定期的な賞与の支給が難しい場合でも、決算賞与なら導入がしやすいでしょう。

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決算賞与を支給する場合は人件費の増加とキャッシュフローの悪化に要注意

一方、決算賞与を支給することには、一定のデメリットもあるため注意しなくてはいけません。

具体的な注意点について詳しく解説します。

人件費の増加により短期的には収益が悪化

決算賞与を支給する場合、人件費が増加するため、短期的には収益が悪化します。

収益が悪化する施策を打つ以上、株主など企業の外部利害関係者への説明が必須です。

「従業員に利益の一部を還元し、モチベーションを向上させるのがなぜ重要なのか」を理屈立てて説明しなくてはいけません。

キャッシュフローの悪化には要注意

また、決算賞与を支給する場合は、キャッシュフローの悪化に注意しましょう。

従業員に一定額の金銭を支給する以上、社内に相応の現金がないといけません。

決算賞与を支給したことで資金ショートを起こしたら元も子もないため、税理士と綿密に打ち合わせをした上で進めましょう。

決算賞与を支給する際の手順

決算賞与を支給する際の手順は、以下の通りです。

● 対象となる従業員に書面で通知する

● 現金、銀行振込、デジタル払いで支払う

それぞれの手順について、詳しく解説します。

対象となる従業員に書面で通知する

まず、対象となる従業員に書面で通知します。

これは、税務調査に備えるためにも重要です。

具体的な方法として、次の2つが考えられます。

  • 個別に決算賞与通知書・決算賞与支給明細書を渡す
  • 決算賞与一覧表を作成し、従業員に提示する(従業員の押印、サインが必要)

なお、いずれの方法による場合でも、作成する書類には必ず通知日を入れましょう。

いつ通知したかによっても、損金算入ができるかが異なるためです。

なお、賞与支給通知書の記載方法は、法律で決まっているわけではありません。

そこで「事業年度末までに通知し、決算日から1ヶ月以内に払う」という事実を客観的に証明することを前提に、文例を作成してみました。

賞与支給通知書

通知日:令和○○年○○月○○日

法人名:株式会社○○○

代表取締役:○○ ○○

受 給 者:○○ ○○殿

当社の就業規則等で定める賞与支給対象期間に基づき、下記の通り、賞与を支給します。

支給日:令和○○年○○月○○日

支給額:金○○万円

以上

従業員住所:                            

従業員氏名:            ㊞

通知が終わったら、現金、銀行振込、デジタル給与のいずれかで決算賞与を支払います。

どの方法を使っても構いませんが、現金の場合は従業員に領収書を書いてもらいましょう。

決算賞与を導入するにはまず「利益を出せる組織になる」ことが重要

決算賞与は従業員のモチベーションを向上させる手段として使えますが、注意が必要です。

そもそも、従業員が努力しても、会社が組織として問題を抱えたままでは、なかなか利益は出せません。

「自分たちは頑張っているのに、なぜ成果が出ないのか」というフラストレーションを溜め込み、早期離職などのトラブルにも結び付きます。

やはり、決算賞与を導入する前段階として、まずは業務運営・組織上の問題点、課題の解決に努めるべきでしょう。

自分たちだけではわからないことでも、外部の専門家との対話で糸口が見えてくるかもしれません。

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