知らないとついやってしまいがちな労働基準法違反になる15の事例。ミスを犯さないために企業がとるべき対処法を徹底解説

労働基準法は労働者を守るための法律で、残業代や解雇など、労働者(従業員)にとって重要な決まりが盛り込まれています。仮に企業が労働基準法に違反した行為をした場合、罰則があるため要注意です。

本記事では、具体的にどのような事例が労働基準法違反になるか、その場合の罰則とともに解説します。

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労働基準法違反の罰則

労働基準法とは、労働者が持つ生存権の保障を目的として、労働契約や賃金、労働時間、休日および年次有給休暇、災害補償、就業規則などの項目について、労働条件としての最低基準を定めた法律です。

労働者の保護という意味で非常に重要な法律であり、違反した場合、労働基準法第117条から120条までの条文に規定されている罰則が科されます。

労働基準法における罰則

第117条

1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処する。

第118条

1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

第119条

6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

第120条

30万円以下の罰金に処する。

知らないとついやってしまいがちな労働基準法違反になる15の事例

労働基準法違反となる事例の中には、知らないとついやってしまいがちなことが含まれています。ここでは「知らないとついやってしまいがち」な事例として、以下の15事例を紹介します。

カテゴリ

概要

罰則

根拠となる労働基準法の条文

採用・解雇・労働契約

1.社会的な身分や性別での差別

6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑

第3条、第4条、第119条

2.労働者の意思に反する強制労働

1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金刑

第5条、第117条

3.中間搾取

1年以下の懲役または50万円以下の罰金刑

第6条、第118条

4.違約金を含めた労働契約

6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑

第16条、第119条

5.一方的・予告なしの解雇

6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑

第119条

労働時間・休日・休暇

6.法定労働時間を超えた労働

6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑

第32条、第119条

7.休憩なしでの労働

6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑

第34条、第119条

8.休日なしでの労働

6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑

第35条、第119条

9.サービス残業

6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑

第37条、第119条

10.有給休暇付与なし

6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑

第39条、第119条

11.産前産後休暇、育児休暇なし

6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑

第65条、第66条、第67条、第119条

補償

12.療養補償や休業補償・障害補償なし

6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑

第75条、第119条

13.遺族への補償なし

6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑

第75条、第119条

14.雇用条件の明示なし

30万円以下の罰金刑

第15条、第89条、第106条、第120条

15.就業規則の作成・届出・周知なし

30万円以下の罰金刑

第15条、第89条、第106条、第120条

1.社会的な身分や性別での差別

具体例

「女性は管理職に昇進させない」「外国籍の場合は応募NG」という決まりを設ける

社会的な身分や性別を理由とし、労働条件その他について差別的な扱いをすることは禁止されています。違反した場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑(労働基準法第3条、第4条、第119条)に処されます。

2.労働者の意思に反する強制労働

具体例

退職を申し出ているのに、「人手不足だから」と無理やり引き留められた

労働者の意思に反して強制労働をさせた場合、1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金刑に処せられます。(労働基準法第5条、第117条)

3.中間搾取

具体例

無許可で派遣事業を営み、従業員が得た収入の3割をピンハネしている

労働者と雇用者の間に入って中間搾取する行為を行った場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金刑に処されます(労働基準法第6条、第118条)。ただし、労働者派遣など法律上認められた一定の場合は対象外です。

4.違約金を含めた労働契約

具体例

退職した従業員に対し、違約金として勤務最終月の月給の半額を支払わせる契約を結んだ

違約金を含めた労働契約を従業員と結んだ場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑に処されます(労働基準法第16条、第119条)。

5.一方的・予告なしの解雇

具体例

いきなり「今日でクビ」と言われ、解雇予告手当も払ってもらえなかった

一方的かつ予告なしの解雇は、立派な労働基準法違反です。6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑に処されます(労働基準法第119条)。

6.法定労働時間を超えた労働

具体例

残業が定常化していて、定時に帰れたことがない(しかも36協定を結んだ覚えもない)。

労働基準法では、企業が法定労働時間(1日8時間・1週間で40時間)を超えて労働(残業)を命じる場合は以下の2点を済まさないといけません。

  • 労働基準法第36条に基づく労使協定(36協定)の締結
  • 所轄労働基準監督署長への届出

これらの手続きを経ず、従業員に時間外労働をさせた場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑に処されます(労働基準法32条、第119条)。

7.休憩なしでの労働

具体例

仕事中トイレ休憩すらなく、休もうとすると怒鳴られた

労働基準法では、労働時間に応じて休憩を与えることが義務づけられています。

労働時間 

休憩時間

6時間超

45分

8時間超

1時間

休憩を与えずに仕事を続けさせるなど、この規定に違反すると6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑に処されます(労働基準法第34条、第119条)。

8.休日なしでの労働

具体例

休日出勤ばかりで、振替休日もない

雇用者は労働者に対し、週に1回以上の法定休日を与えなくてはいけません。違反した場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑に処されます(労働基準法第35条、第119条)。

9.サービス残業

具体例

定時後の残業や休日出勤、深夜の稼働もあるのに残業代を払ってもらえない

時間外労働、休日労働、深夜労働(午後10時~翌午前5時までの労働)をさせた場合には、所定の割増賃金を支払わなくてはいけません。違反した場合は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑に処されます(労働基準法第37条、第119条)。

10.有給休暇付与なし

具体例

入社から半年以上経過したのに有給休暇を取らせてくれない

勤続期間が半年以上に達した場合、労働期間や労働時間数に応じた有給休暇を付与しなくてはいけません。違反した場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑に処されます(労働基準法第39条、第119条)。

11.産前産後休暇、育児休暇なし

具体例

子どもが生まれる予定があるので出産・育児休暇を申し出たら退職を迫られた

労働者から産前産後休暇や育児休業の申し出があったら、雇用者は必ず認めなければいけません。違反すると6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑(労働基準法第65条、第66条、第67条、第119条)に処されます。

育児休暇に関しては、女性はもちろん、男性からの申し出の場合も拒否できないので要注意です。

12 療養補償や休業補償・障害補償なし

具体例

仕事中にけがをして会社を休んだのに、会社から「労災は使うな」と言われ、治療費を全額自腹で払った

従業員など、労働者が業務中の事故により病気・けがをして療養する場合、労働災害として扱われます。雇用者(企業)は治療費や休業補償、後遺障害が残った場合には障害に対する補償を負担しなくてはいけません。

しかし、企業が労災保険料を払っていなかったり、従業員に労災申請をしないよう揺さぶりをかけたりする事例も起きています。違反した場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑に処されるので注意が必要です(労働基準法第75条、第119条)。

13.遺族への補償なし

具体例

仕事中の事故で家族が亡くなったのに、会社からは何の補償もなかった

本来、労働者が業務中の災害により死亡した場合、労災保険から保険給付を受けることができます。しかし、労災保険料が未払いになっていた場合、企業がその事実を隠し通そうとすることもあるでしょう。

これは、れっきとした労働基準法違反であり、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑に処されます(労働基準法第75条、第119条)。

14.雇用条件の明示なし

具体例

面接や内定後の面談で雇用条件が明示されないまま契約を結ばされそうになった

新たに労働者を雇用する際は、雇用条件を明示しなくてはいけません。違反すると30万円以下の罰金刑に処されます(労働基準法第15条、第89条、第106条、第120条)。

15.就業規則の作成・届出・周知なし

具体例

会社に従業員は10人以上いるのに、就業規則を見たことがない。聞いてみたところ、作っていないと言われた

常時10名以上の労働者を雇用している事業所では、就業規則を作成・届出し、労働者に周知させなくてはいけません。

また、労働者からの就業規則の閲覧の求めにも応じなくてはいけません。違反すると30万円以下の罰金刑に処されます(労働基準法第15条、第89条、第106条、第120条)。

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労働基準法に違反することによる企業へのリスク

労働基準法に違反することにより、企業は様々なリスクに直面します。起こりうるリスクの例をいくつか紹介しましょう。

  • 罰金の支払い
  • 経営者や幹部社員への処罰
  • 助成金・補助金の支給打ち切り
  • ハローワークへの求人掲出の拒否
  • SNS、WEB上での拡散

労働問題を起こさないために企業がとるべき対処法

労働基準法違反を犯さないためには、企業側の対応が不可欠です。具体的にとるべき対処法について解説します。

自社の就労規定とその実態を見直す

就業規定が自社の実態に即したものになっているか、まずは確認し、見直しましょう。例えば、パート従業員が増えているのに、正社員用の就業規則しかなかった場合は修正が必要です。なお、草案は各部署と共有し、検討するようにしてください。

働き方改革推進支援センターに相談する

全国の都道府県に設置されている働き方改革推進支援センターでは、就業規則の作成方法、賃金規定の見直しや労働関係助成金の活用などを含めたアドバイスを行っています。なお、利用は無料です。

弁護士・社会保険労務士に相談する

労働法に強い弁護士や社会保険労務士にも相談してみましょう。顧問弁護士・社会保険労務士がいない場合は、地域の弁護士会や社会保険労務士会経由で紹介してもらえます。

2019年の労働基準法の改正で残業時間に上限が設けられる

以下の図のように、2019年の労働基準法改正により、残業時間に上限が設定され、有給休暇についても確実な取得が求められるようになりました。

規模を問わずすべての企業はこれらの規定を遵守しなくてはいけません。

しかし、中小企業など少ない人員で業務を行っている場合は「法律を守らなくてはいけない、しかし、人手が足りないから無理」というジレンマに陥りがちになるでしょう。

人手不足が原因で労働基準法違反になっているなら外部人材の活用を

人手不足で結果的に労働基準法違反になる働き方に陥っている場合の長期的な解決策としては、社内の体制の整備や業務の効率化、属人化の防止があげられます。

一方、外部人材の登用は、短期的な解決策として非常に有効です。リンクスエージェントでは、十分な知識と経験を有したハイスキル人材を短期間でご紹介可能。「従業員が産休・育休の間だけ稼働」など、ご要望に応じた提案をいたしますので、ぜひ一度ご相談ください。