男女雇用機会均等法は男女の双方を差別から保護する法律。理解不足や人手不足がハラスメントにつながるため要注意

男女雇用機会均等法という法律の名前自体を知っている人は多いと思いますが、内容を正確に理解できている人は少ないかもしれません。

実は、男女の双方を差別から保護する法律であるため、理解不足や人手不足がハラスメントにつながる点には注意しましょう。今回の記事では、男女雇用機会均等法について詳しく解説します。

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男女雇用機会均等法の目的は性別を理由にした差別の禁止

男女雇用機会均等法(正式名称:雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律)は、雇用や労働に際して性別による差別をなくすことを目的にした法律です。制定自体は1985年と比較的古い法律ですが、時代の変遷とともに内容が大きく変わっています。

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2006年以降は男女ともに性別を理由にした差別的扱いを禁止

1985年の制定当初はあくまで男女間の均等な取り扱いを「努力義務」としていました。つまり、違反しても厳しい罰則が科せられたわけではありません。

しかし、1997年の改正では女性であることを理由とする差別的扱いの禁止が定められ、2006年には男女ともに性別を理由にした差別的な扱いが禁止される方向へと変わっています。

2017年には妊娠・出産等に関するハラスメント防止措置義務も新設

さらに2017年1月には、男女雇用機会均等法が改正され、妊娠・出産等に関するハラスメント防止措置義務が新設されました。また、これらの義務は妊娠した女性従業員だけでなく、配偶者・パートナーが妊娠した男性従業員も対象になります。

つまり、「妊娠したことを職場に話したら退職するようほのめかされた」「パートナーが出産するので育休を取りたいと話したら降格をほのめかされた」など、妊娠・出産によるハラスメントが起きないよう配慮するとともに、起きた場合は解決に向けて動かなくてはいけません。後述するLGBTに対するハラスメントも含め、男女雇用機会均等法の内容は時代とともに変わっていきます。常に知識をアップデートするようにしましょう。

昨今の多様性重視におけるLGBTにも配慮した雇用環境の変化

男女雇用機会均等法では職場におけるハラスメントの禁止および対策を講じることが義務付けられています。

この中にはセクハラも含まれますが、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)などの性的少数者に対する職場におけるセクハラも含まれる点には留意しなくてはいけません。

以下の対策を講じ、様々な立場の従業員が快適に働けるように配慮しましょう。

  • 社内規定への明記
  • 社内研修の実施
  • 福利厚生の充実
  • トランスジェンダーへの配慮

男女雇用機会均等法の6つのカテゴリ

男女雇用機会均等法には様々な内容が盛り込まれています。内容は大まかに、以下の6つのカテゴリに分けることが可能です。

性別を理由にした差別の禁止

男女雇用機会均等法では、性別を理由として雇用の機会や就業環境に差を設けることを禁止しています。以下の事項について、性別による差をつけてはいけません。

  • 人材募集を行う際の条件
  • 採用選考
  • 業務上の配置や業務配分
  • 権限の付与
  • 昇進
  • 研修
  • 一定範囲の福利厚生
  • 職種の変更
  • 退職の勧奨
  • 定年や解雇
  • 契約の更新

合理的な理由なき間接差別の禁止

合理的な理由がない間接差別も禁止されています。間接差別とは、表向きは性別以外の理由によるものに見えても、実際は性別を理由にしている差別のことです。

例えば「募集や採用、昇進、職種変更に際し、転勤可否を要件にすること」は、合理的な理由がない限り禁止されます。

ハラスメントの禁止と対策

男女雇用機会均等法では、セクハラ、マタハラ、パワハラなどのハラスメントについて、企業が事前の対策など必要な措置を行うことを義務付けられています。当然、妊娠・結婚・出産を理由にした解雇・降格も禁止です。

また、企業側が従業員の言動に注意を払うのはもちろん、従業員も企業側が講じる対策に協力しなくてはいけません。

妊娠・出産における女性の健康管理

妊娠・出産における女性の健康管理に関する規定も、男女雇用機会均等法に盛り込まれています。

つまり、妊娠中や出産後1年以内など定期的な検診が必要な女性に対しては、時差出勤や時短勤務、休憩時間の延長などで時間を確保できるようにしないといけません。

男女雇用機会均等推進者の選任

企業は、性別にとらわれない人事管理の徹底と、女性が能力を発揮しやすい職場環境を作るために、男女雇用機会均等推進者を選任するよう努めなくてはいけません。企業の人事労務管理責任者が対象となり、選任届を各都道府県にある労働局雇用環境・均等部(室)に提出します。

なお、所定の専任届は厚生労働省のWEBサイトからダウンロード可能です。

深夜業務に従事する女性に対する措置

女性も男性と同様、深夜業務に従事することができます。ただし、その際には企業が通勤や業務時の安全確保をしなくてはいけません。例えば、電車が運行していない時間帯に出勤・退勤する際はタクシーで自宅まで送迎するなどの対応が必要になります。また、新たに深夜業務に従事させる場合は、事情をヒアリングするなどの配慮を欠かさないようにしましょう。

さらに、該当する女性従業員が子育てや介護を理由に深夜業務の制限を求めた場合は、企業は原則として深夜労働をさせることができません。ただし、その女性に深夜業務に従事してもらわないと業務が継続できないなど事情がある場合は、法律上請求を拒否できます。

男女雇用機会均等法における労働者と事業主との間に紛争が生じた場合の救済措置

男女雇用機会均等法においては、労働者と事業主との間で紛争が勃発した場合の救済措置を定めています。

つまり、トラブルが生じた場合は次のいずれかの方法で解決を図ると考えましょう。

苦情処理機関による自主的解決

事業主は労働者から苦情を受けた際、各企業内に事業場における労働者の苦情を処理するための機関として苦情処理機関を設置し、その当該苦情の処理をゆだねる等、自主的な解決に努めなくてはいけません。

つまり、社内でセクハラなど男女雇用機会均等法に関連するトラブルが生じた場合は、社内の相談窓口を通じて相談に乗り、解決を目指すのが最初にやるべきことになります。

労働局長による紛争解決の援助

自主的解決が図れない場合は、労働局長による紛争解決の援助が行われます。

各都道府県の労働局長が紛争関係にある労働者と事業主から事情を聴取し、必要な場合は調査を行い、適切な助言や指導、勧告をして紛争解決を目指す手続きです。

機会均等調停会議による調停

より公平性・中立性を求めるなら、機会均等調停会議による調停も視野に入ります。これは、調停委員が労働者と事業者の双方から話を聞いたうえで調停案を作成し、受理を目指すことで解決を図るものです。双方が調停案を受け入れれば問題は解決します。

しかし、双方の意見に大きな食い違いがあって調停案を作成するのが難しかったり、双方が調停案を受け入れなかったりする場合は調停は打ち切りとなり、裁判に移行するのが通常の流れです。なお、前述した労働局長による紛争解決の援助や機会均等調停会議による調停を利用する際は、都道府県労働局の雇用均等室に連絡しましょう。

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男女雇用機会均等法に違反した場合は社会的制裁が下るため要注意

男女雇用機会均等法に違反した疑いがある場合、厚生労働大臣は事業主に対して報告を行わせることができます。この報告によって法律違反が認められた場合、助言や指導、勧告が行われ、事業主は解決に向けた措置を講じなければいけません。厚生労働大臣からの報告の求めに応じなかったり、虚偽の報告を行ったりした場合は、20万円以下の過料が処され、勧告に従わなかったことを理由に企業名が公表されます。

また、セクハラ・パワハラなどのハラスメントの被害にあった従業員が精神的苦痛を理由として裁判を起こす可能性もあるでしょう。裁判の結果、企業側が敗訴したら、慰謝料の支払い義務が生じます。それ以外にも「この会社はハラスメント対策もろくにできていない」という悪評が立ち、取引先など利害関係者との関係にも影響が及びかねません。

男女雇用機会均等法に違反しないよう適切に業務運営をすることや、万が一トラブルが生じた場合は真摯に対応することが、企業のリスクマネジメントの一環として今後より重要性を増していくでしょう。

なぜ男女雇用機会均等法違反が起きるのか根本的な原因に目を向けるべき

男女雇用機会均等法に関する問題には、「何が差別に当たるのか」という知識を身につけても解決が難しいケースもあるということです。例えば、慢性的な人手不足に陥っている企業の場合、配偶者・パートナーが出産予定の男性従業員にまで育休を取らせる余裕がないという理由で断ることも考えられます。

このようなケースの場合、根本的な原因は人手不足である以上、「1人が休んでも仕事が回る仕組み」こそが解決策であり、知識を身につけることは(直接的な)解決策にはなりえません。

男女雇用機会均等法の大元の目的は「様々な立場の人が働きやすい環境を作ること」にあるため、意識改革だけに頼るのではなく、仕組みのレベルから見直しをしましょう。業務の属人化の防止や、外部委託スタッフなどを利用して現場の負担を減らすことも重要です。

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