雇用調整助成金の受給要件とは。申請方法や必要書類も併せて紹介

経済上の理由で事業活動が縮小した事業所が、雇用を維持するために休業手当等を支給した際の費用を助成する雇用調整助成金。本記事では助成金の受給要件や受給額、申請の流れなどを詳しく紹介します。

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雇用調整助成金の概要

まずは雇用助成金の概要について説明しましょう。

雇用調整助成金とは

雇用調整助成金とは、事業活動をしている中で活動縮小を余儀なくされた際に、雇用を維持しつつ事業を存続させるためにサポートする仕組みです。雇用維持の方法としては「休業」「教育訓練」「出向」の3パターンが想定されています。

コロナ特例

コロナ禍によって事業縮小を余儀なくされた事業者に向けて、コロナ特例が設けられていましたが、緊急対応期間は2022年11月までで終了しており、経過措置期間も2023年3月をもって終了する予定となっています。この記事では、通常の制度の内容について紹介します。

受給の対象期間と日数

受給の対象期間はすべての方法で1年間の期間以内とされています。休業・教育訓練の場合、事業主が期間を指定することができます。出向を行う場合、出向開始日から1年間が対象期間となります。対象日数は、1年間で100日分、3年で150日分が上限です。

雇用調整助成による受給額

休業・教育訓練、出向ごとの受給額を紹介します。

「休業や教育訓練」

助成金額は、事業主が払った休業手当負担額、教育訓練を実施した際の賃金負担額に助成率を乗じた金額です。中小企業では2/3、大企業では1/2を乗じます。ただし、一人当たり8355円が上限額となります。教育訓練を実施した場合は訓練費として1人1日あたり1200円が加算されます(半日の訓練の場合は0.5日として計算)。

「出向」

出向労働者の賃金に対する負担額に(出向前の通常賃金の1/2が上限)、中小企業は2/3、大企業では1/2の助成率を乗じた金額が受給できます。ただしこちらも上限額が設定されており、1人1日あたりの雇用保険基本手当日額の最高額に330/365を乗じた金額です。

雇用調整助成金の主な受給要件

本助成金には受給要件が設定されています。主なものを紹介していきます。

雇用保険の適用事業主である

雇用保険料を納めている適用事業主であることが大前提です。

最近3カ月の売上高または生産量が前年同期比10%以上の減少

最近3カ月間の月平均売上高もしくは生産量が前年同期比で10%以上減少している事業所が対象です。

最近3カ月の雇用量の指標が前年同期比で指定数値を超えていないこと

最近3カ月の月平均雇用量の指標が前年同期比と比べて中小企業は10%超えかつ4人以上、中小企業以外は5%超えかつ6人以上増加していないことが条件です。

雇用量には雇用保険被保険者だけでなく、派遣労働者も含まれます。

基準を満たした雇用調整をしていること

雇用調整の内容ごとに以下の基準を満たしていることが問われます。

・休業の場合

労使間協定によって所定労働日の全一日にわたって休業が実施されているか、被保険者全員に対して一斉に1時間以上の休業が実施されている場合に対象となります。

・教育訓練の場合

教育訓練の内容が職業に関するものであり、受講日は業務に就かないことが求められます。

・出向の場合

対象期間内に開始し、3カ月以上1年以内に出向元に復帰することが条件となります。

同助成金をすでに受けている場合、一年以上経過していること

過去にも同助成金を受給していて新たに対象期間を設定する場合、直前の対象期間の満了日の翌日から1年を経過していることが必須です。以前にも受給している場合はしっかりと確認しましょう。

助成金受給までの流れ

助成金を申請し、受給するまでの流れを見ていきましょう。

1.受給要件を満たしているか確認

まずは前述した受給要件を自社が満たしているか確認しましょう。

2. 雇用調整の計画

雇用調整の内容を具体的に検討して計画します。「休業」「教育訓練」「出向」ごとの計画までの流れは以下の通りです。

「休業」

1.休業期間、対象部署、人数を検討する

2.不公平感の出ない方法で休業対象者を選定する

「教育訓練」

1.事業所内、事業所外で行うのか決定する

2.訓練内容を検討し、それに合わせた講師を選ぶ

3.訓練期間、場所を決める

4.訓練後のフォローアップも忘れない

「出向」

産業雇用安定センターの地方事務所で出向先の斡旋を無料で行っているので、出向先のアテがない場合は利用すると良いでしょう。利用する際の流れを紹介します。

1.民間企業から派遣される協力員の企業訪問

2.企業間で情報交換会議を開催する

3.出向者の送り出しおよび受け入れに係る情報収集をした上で、出向に関する話し合いをする

3.計画届の提出

計画が固まったら、都道府県労働局またはハローワークへ申請書類等を提出します。申請に必要な書類は以下の通りです。

書類の種類

提出時期

休業

教育訓練

出向

休業等実施計画(変更)届

毎回提出

毎回提出

毎回提出

雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書

初回のみ提出

初回のみ提出

初回のみ提出

雇用調整実施事業所の雇用指標の状況に関する申出書

初回のみ提出

初回のみ提出

初回のみ提出

休業・教育訓練計画一覧表

教育訓練も行う場合は同一書類

毎回提出

休業協定書・教育訓練協定書

基本初回のみ提出

基本初回のみ提出

事業所の状況に関する書類

初回のみ提出

初回のみ提出

初回のみ提出

教育訓練の内容に関する書類

毎回提出

出向協定書

毎回提出

出向契約に関する書類

毎回提出

毎回提出するもの、初回のみなど複雑なため、持参する前にしっかりと確認しましょう。

4.計画届に基づいた雇用調整の実施

提出した届出書に基づいた雇用調整を実施します。

5.支給申請

支給申請に関する書類を都道府県労働局又はハローワークへ提出します。申請は支給対象期間の末日の翌日から2カ月以内と決められており、1日でも過ぎると申請受付ができなくなるので注意しましょう。書類の種類に関しては後述します。

6.労働局による審査・支給決定

提出した書類に基づき、労働局が審査し、支給が決定されます。

7.支給が決定した場合、振込

支給決定した額が振り込まれます。

雇用調整助成金の支給申請に必要な書類

雇用調整助成金の支給申請に必要な書類を助成内容ごとに見ていきましょう。

休業や教育訓練などの支給申請に必要な書類

休業や教育訓練による助成金支給申請に必要な書類は以下の通りです。

書類の種類

提出時期

休業

教育訓練

支給申請書(休業等)

毎回提出

毎回提出

助成額算定書

毎回提出

毎回提出

休業・教育訓練実績一覧表及び所定外 労働等の実施状況に関する申出書

毎回提出

毎回提出

雇用調整助成金支給申請合意書

毎回提出

支給要件確認申立書

毎回提出

毎回提出

労働保険料に関する書類

初回のみ提出

初回のみ提出

労働・休日及び休業・教育訓練の実績に 関する書類

毎回提出

毎回提出

教育訓練の受講実績に関する書類

毎回提出

毎回提出が必要なものと初回のみとあるので注意しましょう。

出向の支給申請に必要な書類

出向に係る支給申請は、図の通りです。

書類の種類

提出時期

支給申請書(出向)

毎回提出

出向先事業所調書

毎回提出

出向に関する確認書

毎回提出

出向元事業所賃金補填額・負担額調書

毎回提出

支給要件確認申立書

毎回提出

出向の実績に関する書類

毎回提出

毎回すべての書類が必要となります。

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不正受給は大きなリスクが伴う

本来受けることのできない助成金を受給する行為を不正受給といいます。労働局には不正受給がないか立入検査等を行う体制があります。不正受給が判明すると以下のような措置がとられます。

支給した助成金の全額および延滞金、不正受給の20%相当額の返還

不正に支給された助成金は当然、全額返還しなければいけません。それだけではなく、受給した助成金にプラスして、不正受給の翌日から納付の日まで年3%の割合で算定した延滞金と、返還を求められた額の20%相当額も同時に返還する必要があります。

企業名や不正内容等の公表

不正内容が悪質な場合、事業所名、代表者名、所在地、不正内容などが公表されます。

不支給から5年間は雇用保険料を財源とした助成金の受給停止

支給取り消しおよび不支給となった日から5年間は雇用保険料を財源とする助成金などが受給できなくなります。

詐欺罪等で刑事告発される可能性もある

特に悪質な不正受給のケースでは、詐欺、脅迫、収賄罪などで刑事告発される可能性もあります。

まとめ

人材は企業の資産ですが、縮小した事業を存続させながら雇用を維持し続けるのは並大抵のことではありません。そんな時、真面目に事業を営む事業主に対しては助成金が強い味方となります。事業存続と雇用維持を両立させ、事業を回復させるために雇用調整助成金を上手に活用してみましょう。また、専門人材への依頼もこの機会に検討ください。